鎌田七男著『広島のおばあちゃん』(2005) ―ドイツ語版

鎌田七男著『広島のおばあちゃん』(2005) のドイツ語翻訳版が出版されました。これにより、原著の日本語版に加えて、英語版、フランス語版、ドイツ語版の4言語で読むことが可能になりました。

鎌田七男医師
ドイツ語版表紙

<ドイツ語版書誌情報>

Kamada, Nanao.  Die alte Dame aus Hiroshima ─Friedenserziehung─Für Schülerinnen und Schüler weiterführender Schulen und Erwachsene.  Übersetzerin, Victoria Kropp (translated from Japanese by Victoria Kropp).  Veröffentlicht von der japanischen Sektion von IPPNW (Internationale Arzte für die Verhütung des Atomkrieges).  Hiroshima:  JPPNW c/o Hiroshima Prefectural Medical Association, 2020.

著者の鎌田七男氏は、被爆による放射線後障害研究の第一人者で、半世紀以上にわたり被爆者治療に携わってきました。本書は、若い世代や一般の人を読者の対象にしており、被爆者が長年にわたり原爆症と闘ってきた事実を草の根に伝えるための工夫が随所に見られます。

例えば、本は「過去のできごと」・「現在のできごと」・「未来に向かって」の章で構成され、表、グラフ、画像がふんだんに盛り込まれています。またこの他にも、見開き左ページで被爆者のおばあちゃんが小・中学校生の質問に広島弁を交えて答える一方、右ページでは大学生や教師などに向けて、筆者がさらに詳しい情報を提供しています。75年間にわたる医学的知見に基づいて書かれた本書ですが、幅広い年齢層に向け、原爆放射線が人体に与えた影響について分かりやすく解説した唯一の本でもあります。

本書をドイツ語に翻訳したヴィクトリア・クロップさんは、NHKのインタビューに答え、「(父親にドイツ語の翻訳原稿を読ませたところ)彼はその内容に涙した。自分の母語で読んだからだと思う。父の様子から、自分が携わった翻訳の果たす役割に改めて気付かされた。被爆者の証言は、多くの言語に翻訳されるべきだ。」と語っています。鎌田医師はドイツ語版の序文で、この本が世界中の人々の手で平和活動に貢献できることを願っている―と述べています。今後さらに多様な言語による出版が待たれる本の一つです。

ドイツ語翻訳者 ヴィクトリア・クロップさん

NHK WORLD JAPAN Backstories-German student tells the story of “Hiroshima’s Grandma”(NHKワールド 裏話―ドイツ人学生が自らの翻訳した『広島のおばあちゃん』を語る)

https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/backstories/1346/

*無料PDF版ダウンロードのサイト

日本語版

http://www.hiroshima.med.or.jp/ippnw/books/index.html

英語版

https://www.ippnw.org/pdf/book-one-day-in-hiroshima.pdf

フランス語版

https://www.ippnw.org/pdf/La%20vieille%20dame%20Hiroshima.pdf

*本購入の問い合わせ―IPPNW日本支部(広島県医師会 学術課)

〒732-0057 広島市東区二葉の里3-2-3

Tel 082-568-1511 Fax 082-568-2112

Eメール:

ippnw-japan@hiroshima.med.or.jp